【うつ病はなぜ繰り返す?】再発・再燃を防ぐ体質づくりと漢方のアプローチ

「お薬を減らしたら、また気分が落ち込むようになってしまった」

「治ったと思ったのに、数ヶ月でまた眠れなくなってしまった」

「抗うつ薬や睡眠薬をいつまで飲み続ければいいのか不安…」

うつ病は、一度症状が良くなっても非常に「繰り返しやすい」という特徴を持っています。
過去にうつ病を患ったことがある方の約60%が再発を経験すると言われており、2回目は70%、3回目は90%と、繰り返すたびにその確率は上がっていく傾向にあります。

また、治ってから数カ月という短い期間で再び抑うつ症状が表れることは「再発」ではなく、症状が完全に治りきっていなかった「再燃(さいねん)」と呼ばれます。
多くは年単位で再発し、数年後や数十年後に再発するケースも少なくありません。


目次

西洋医学の視点

西洋医学(心療内科や精神科)において、うつ病の治療は主に「休養」と「薬物療法」が中心となります。
脳内の神経伝達物質のバランスを整えるために、SSRIなどの「抗うつ薬」、不安を和らげる「抗不安薬」、不眠に対して「睡眠導入剤」などが処方されます。

また、うつ病には気分の落ち込みだけでなく、身体的な症状(重い疲労倦怠感、肩こり、緊張型頭痛など)が伴うことも少なくありません。
こうした身体の痛みに対して、ロキソニンなどの解熱鎮痛剤が処方されたり、市販薬で対処している方も多く見受けられます。

西洋医学の治療において最も注意が必要なのが、「自己判断による服薬の中断」です。
お薬のおかげで一時的に症状が楽になったタイミングで、「西洋薬の依存性が怖い」「眠気やだるさなどの副作用が辛い」といった理由から急にお薬をやめてしまうと、高い確率で「再燃」を引き起こします。

再発を防ぐためには、症状が消失した後も服薬やカウンセリングを継続する「維持療法」が非常に重要です。
一般的には半年から1年ほどの期間、再発の状況やその後の経過を考慮しながら慎重に治療を続けます。


西洋医学と東洋医学(漢方)のアプローチの違い

西洋医学と東洋医学(漢方)では、うつ病やその再発に対するアプローチの目的が異なります。
西洋医学は、抗うつ薬睡眠導入剤などを用いて「脳内の物質に直接働きかけ、いま起きている辛い抑うつ症状や不眠を速やかに緩和すること」を得意としています。
急性期の強い症状をコントロールするためには欠かせないアプローチです。

一方で東洋医学(漢方)は、「なぜ心が疲れやすくなり、不調を繰り返してしまうのか」という根本的な要因(自律神経の乱れや、全身のエネルギー不足)に目を向けます。
漢方のアプローチは、乱れた自律神経を整え、滞った「気・血・水」を巡らせることで、「ストレスに過剰に反応しない、再発しにくい体質の土台づくり」を目的としています。

「維持療法」の期間において、西洋薬で症状をコントロールしながら漢方薬を併用し、ご自身の回復力を底上げしていくことは、スムーズな社会復帰や将来的な減薬を目指す上で非常に有効な手段と言えます。


漢方が考える原因

Reiyodoでは、うつ病の再発の主な原因を東洋医学の観点から以下の3つに大別し、お客様の体質や症状に合わせてオーダーメイドで漢方をお組みしています。

原因のタイプ具体的な状態・特徴東洋医学(漢方)のアプローチ方向
自律神経の乱れ
(気滞)
イライラ、焦燥感、気分の落ち込み、憂鬱な気分、感情のコントロールが難しい。
ストレスや不規則な生活リズムで自律神経が過剰に昂っている状態
自律神経を整える漢方薬で、張り詰めた神経を解きほぐし、焦りや落ち込みを和らげます。
一時的な症状緩和後も継続することで再発を防ぐ体質を作ります。
気の詰まり
(気鬱・気逆)
動悸、胸が苦しい、不安感、喉の詰まり感、息苦しさ。
不安感によってエネルギー(気)が胸元や頭に滞り、うまく発散できていない状態
気を発散する漢方で滞った気を巡らせ、重苦しい身体症状を緩和します。
また、水の巡りや血の滞りが関わっている場合は「水の巡りを良くする漢方」や「血流を良くする漢方」を併用します。
エネルギー不足
(気虚・血虚)
何をしても楽しくない、食欲不振、眠れない、慢性的な疲労感。
心身のエネルギーや栄養が枯渇している状態。
睡眠状況が悪化しているケースも多いです。
身体のベースを補う漢方で生きる活力を養います。
睡眠の質が著しく低下している場合は、自然な休息を促す「不眠に対する漢方薬」を組み合わせて使用します。

【先生コラム①】『もう治った』という自己判断の落とし穴〜維持療法の重要性〜

担当薬剤師:武田隆芳(病院・調剤薬局での勤務経験あり)

うつ病のご相談で一番もったいないと感じるのは、「少し良くなったから」「薬に頼りたくないから」とご自身の判断でお薬をパタリとやめてしまい、再び深い落ち込み(再燃)を経験してしまうケースです。
西洋薬の副作用や依存性がご不安になるお気持ちはとてもよく分かります。

だからこそ、その回復の過程をスムーズにするために「漢方薬」がお役に立ちます。
症状が落ち着いたからと油断せず、西洋薬と並行して「自律神経を整える漢方」を継続していくこと。
この「維持療法」をしっかりと行うことが、結果的にお薬を手放し、再発しない未来への一番の近道になります。

【先生コラム②】心の不調は身体のサイン?痛みを根本から見直すストレスケア

担当薬剤師:櫻井絵梨子(病院・調剤薬局での勤務経験あり)

ご相談を伺っていると、気分の落ち込みだけでなく「毎日のように頭痛がしてロキソニンが手放せない」「体が鉛のように重くて動けない」といった身体症状を併発されている方が非常に多いです。
東洋医学では「心身一如(心と体は一つ)」と考えます

ストレスで自律神経が乱れ「気」が滞ると、やがて血や水の巡りも悪くなり、頭痛や冷え、不眠となって表れます。
一時的な痛み止め睡眠薬で凌ぐだけでなく、漢方で「気の発散」を促し全身の巡りを良くしてあげることで、頭痛やだるさが和らぎ、それに伴って心もフッと軽くなっていくのを実感していただけるはずです。


うつ病の再発の症例経過

① 40代 女性

数年前にうつ病を発症し、一度調子が良くなった際に西洋薬を中断したところ、最近になって再び不安感が高まり、不眠症状が出るようになってきたとのことでご相談をいただきました。
加えて「頭痛」や「疲労倦怠感」といった他の症状も強く表れている状態でした。
自律神経の乱れと、気の滞りが原因と考え、まずは「気の発散を促す漢方薬」と「自律神経を整える漢方薬」をオーダーメイドで調合し、お飲みいただきました。

服用開始から1ヶ月寝つきの悪い日が少なくなってきたとのお声をいただきました。
服用開始から2ヶ月引き続き調子は安定しており、日中の不安感を感じることが少なくなってきたことでご本人も安心されていらっしゃいました。
服用開始から3ヶ月夜中に目が覚めることなく熟睡できるようになり、体調も良くなってきていることを実感されていました。
服用開始から6ヶ月引き続き精神的に安定した状態を保っていらっしゃるとのこと。
「しっかりとうつ症状が再発しない体質作りを目指したい」と、その後も丸1年ほど漢方を継続されました。
現在も再発はなく、順調に改善が見られ私共も安心いたしました。


うつ病の再発のお悩みに関するQ&A

心療内科の抗うつ薬や、頭痛時の鎮痛剤(ロキソニン等)と漢方薬は一緒に飲めますか?

はい、基本的には心療内科・精神科のお薬(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入剤など)や、一般的な鎮痛剤などと併用していただいて問題ありません。
むしろ、西洋薬で辛い症状をコントロールしながら、漢方薬で自律神経や体質を整えていくアプローチは、再発予防において非常におすすめです。
現在服用中のお薬がある場合は、飲み合わせを確認しますのでご相談時にお知らせください。

症状が良くなったら、漢方薬はすぐにやめてもいいですか?

うつ病の治療において、症状が落ち着いた後の「継続療法(維持期)」は非常に重要です。
一時的に症状が緩和しても油断せず、症状の変化を見ながら「自律神経を整える漢方」などを数ヶ月〜半年以上は継続していくことをお勧めしています。
心身のベースが完全に安定してから、徐々にフェードアウトしていくのが理想的です。

うつ病の再発に対して、どのような漢方を使いますか?

お客様の症状や体質に合わせて、「自律神経を整える漢方」「気の発散を促す漢方」「気力を補う漢方」「睡眠の状態を整える漢方」などを主にご用意しております。
一番お困りの症状をお伺いした上で、最適な漢方をオーダーメイドでお組みいたします。


併せて読みたい関連疾患・お悩み

うつ病の再発は、自律神経の乱れや精神疾患、睡眠、頭痛の問題と密接に関わっています。

以下の記事も併せてご覧ください。

【精神疾患】
【自律神経失調症】
【不眠症・睡眠障害】
【頭痛・片頭痛】


漢方薬剤師 薬局長 武田 隆芳(たけだ たかよし)

実績:病院勤務4年・調剤薬局勤務8年の臨床経験 合計12年間

西洋医学の最前線で多くの患者さんと向き合う中で、薬で症状を抑えるだけではない「根本的な治癒」への渇望が芽生える。

・「身近な人の悩みにもっと深く関わり、本当に治る手助けがしたい。」
・「薬だけでなく、身体の内側から体質を変えていく感動を伝えたい。」

という強い想いから漢方の道へ。 現在は呼吸器や皮膚トラブル、精神疾患などを得意とし、漢方薬のご提案はもちろん、食事や生活習慣のアドバイスまで含めた「二人三脚のサポート」を行っています。


漢方薬剤師 櫻井 絵梨子(さくらい えりこ)

病院・調剤薬局の勤務を経て漢方の道へ

関心のある疾患:婦人科疾患・不妊症

【趣味】
旅行・美味しいお店巡り