【昔は低血圧だったのに急上昇?血圧が乱高下する更年期高血圧】原因と対策!西洋薬と漢方のアプローチの違い

「健康診断で突然、高血圧を指摘されて驚いた(若い頃はずっと低血圧だったのに…)」

「血圧を測るたびに数値がバラバラで、頭痛やイライラ、動悸もひどい」

「病院の降圧剤を飲んでいるのに安定せず、ロキソニンなどの頭痛薬も手放せない」

高血圧とは、最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上(もしくはその両方)の状態を指します。
自覚症状が乏しく「自分は大丈夫」と放置されがちですが、進行すると脳梗塞や心筋梗塞、脳出血など深刻な事態を引き起こす場合もあり、気づいた時には手遅れになることもあります。

特に、閉経前後の女性(主に45〜55歳頃)に見られる「更年期高血圧」は、一般的な高血圧と違い、「普段はそこまで高くないのに、環境変化やストレス、睡眠不足などのちょっとしたキッカケで血圧が変動しやすい(乱高下する)」という特徴があります。
実は、50代以上の女性の2人に1人が高血圧とも言われており、決して珍しいことではありません。
更年期が過ぎると落ち着く方もいらっしゃいますが、慢性的な高血圧に移行してしまうケースもあるため、早めの対策が重要です。


目次

西洋医学の視点

更年期高血圧に対する西洋医学の視点では、血管への負担を減らし、将来的な動脈硬化や合併症を防ぐために血圧の数値をコントロールすることが基本となります。
一般的なアプローチとして、血管を広げて血圧を下げる降圧剤(カルシウム拮抗薬やARBなど)が処方されます。

また、更年期の女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少が根本にある場合、ホルモン補充療法(HRT)が検討されることもあります。
更年期高血圧は、頭痛や肩こり、イライラといった更年期特有の症状を伴うことが多いため、対症療法として解熱鎮痛剤(ロキソニンなど)精神安定剤などが一緒に処方されるケースもよく見られます。


西洋医学と東洋医学(漢方)のアプローチの違い

西洋医学の治療は、降圧剤で直接的に血圧の数値を下げたり、ロキソニンで今ある痛みを素早く抑えたりする「対症療法」を得意としており、血管の深刻なリスクを回避するために非常に重要な役割を果たします。

一方で東洋医学(漢方)は、「なぜ急に血圧が上がりやすくなり、ちょっとしたことで数値が乱高下してしまうのか」という、更年期特有の根本的なバランスの乱れに目を向けます。
女性ホルモンの減少をきっかけとした自律神経の過剰な高ぶりや、血管の緊張を穏やかに解きほぐすことで、血圧が安定しやすいお身体のベースを整えます。

降圧剤を飲まれている場合でも、更年期の諸症状のために併用している他のお薬やサプリメントの影響で効きが悪かったり、身体に負担がかかってしまうケースがあります。
「血圧だけでなく、イライラや頭痛、不眠などの更年期症状もまとめてケアしたい」という方は、西洋医学の治療と並行して、漢方薬でお身体全体のバランスを整えていくことが非常に有効な選択肢となります。


漢方が考える原因

Reiyodoでは、更年期高血圧の原因を東洋医学の観点から以下のタイプに大別し、お客様の体質や一番改善したいお悩みに合わせてオーダーメイドで漢方をお組みしています。


原因のタイプ具体的な状態・特徴東洋医学(漢方)のアプローチ方向
ホルモンバランスの乱れエストロゲンの低下によりホルモンバランスが崩れ、血圧上昇とともに頭痛、動悸、イライラ、不眠などの諸症状が現れやすい状態。ホルモンバランスを整える漢方を使用します。
更年期のストレスや不安、抑うつなどが起こりにくいよう体質改善を促します。
コレステロール値が整いやすくなる方も多くいらっしゃいます。
自律神経の乱れホルモンバランスの変化やストレスが引き金となり、自律神経が過敏になって血管が収縮し、血圧が乱高下しやすい状態。自律神経を整える漢方を使用します。
心身の過度な緊張状態を解きほぐし、血圧の安定をサポートしながら更年期の諸症状を和らげます。
血管の炎症・負担年齢とともに血管の柔軟性が失われたり、滞り(お血)が生じることで、血管に負担や微細な炎症が起こっている状態。血流を整え、血管の負担や余分な熱を和らげる漢方を症状に合わせて組み合わせ、全身の巡りをサポートします。

【先生コラム①】昨日までは正常だったのに?更年期特有の『血圧の乱高下』の正体

担当薬剤師:櫻井絵梨子(病院・調剤薬局での勤務経験あり)

更年期のご相談で非常に多いのが「昔はずっと低血圧だったのに、最近測るたびに高血圧になっていて驚いた」というお声です。
実はこれ、女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって、自律神経のスイッチがうまく切り替わらなくなっているサインなのです。

自律神経が乱れて「交感神経」が過剰に優位になると、血管がギュッと収縮し、ちょっとしたストレスや気温差で血圧が跳ね上がってしまいます。
漢方では、この自律神経の昂りを「気」の巡りの滞りと捉え、リラックスさせる漢方薬を用いることで、波のない穏やかな状態へと導いていきます。

【先生コラム②】降圧剤と鎮痛薬(ロキソニンなど)の落とし穴?漢方で叶えるトータルケア

担当薬剤師:宮本貴美(調剤薬局・漢方薬局での勤務経験あり)

更年期高血圧の方は、血圧の上昇とともに頑固な頭痛や肩こりにも悩まされることが多く、降圧剤と一緒にロキソニンなどの痛み止めを頻繁に服用されているケースをよくお見受けします。
しかし、お薬の多剤併用は胃腸に負担をかけたり、本来の効き目を妨げてしまうこともあります。

漢方の素晴らしいところは、血圧、頭痛、イライラ、不眠といったバラバラに見える症状を「一つのホルモンバランスの乱れ」として捉え、トータルでケアできる点です。
お身体のベースが整うことで、結果的にお薬に頼る回数が減っていく方がたくさんいらっしゃいます。


更年期高血圧の症例経過

①60代 女性(血圧上昇・肩こり・頭痛)

血圧が一番高い時に「最高血圧150/最低血圧90」くらいまで上がってしまうとのことでご相談をいただきました。
加えて「肩こり」や「頭痛」など更年期特有の他の症状もおありでしたので、まずは「ホルモンバランスを整える漢方」をお出しいたしました。

服用開始から1ヶ月で最高130/最低80くらいまで落ち着き、肩こりも減少。
3ヶ月目には血圧の安定とともに頭痛も減り、5ヶ月目の血液検査では気になっていたコレステロールの数値にも良い変化が見られました。
9ヶ月目には血圧も安定し、肩こりや頭痛も出ず調子が良いとのことで、漢方の服用を無事に終了(ご卒業)となりました。

② 60代 女性(自覚症状のない血圧の乱高下)

血圧が高い時は「最高血圧170/最低血圧110」まで上がってしまうとのことでご相談をいただきました。
自覚症状は無いものの、急に血圧が高くなるため病院から降圧剤も処方されていました。
血圧が上がる明確な原因は思い当たらないとのことでしたが、お話を伺う中で「自律神経を調節する漢方」と「発散を促す漢方」をお組みしました。

服用開始から2ヶ月で150を超えることがほとんどなくなり安定。
4ヶ月目に、最高血圧は落ち着いたものの最低血圧が100を超えやすかったため「腎臓の負担を軽減する漢方」へ切り替えて調整しました。
6ヶ月目には最高130~140台、最低100以下という目標を達成し、ご本人の希望により一度服用を終了。
自覚症状がない分確認が難しいケースでしたが、しっかりと数値が落ち着き安心いたしました。


更年期高血圧のお悩みに関するQ&A

病院の降圧剤やロキソニンなどの痛み止めと漢方薬は一緒に飲めますか?

はい、基本的には併用していただいて問題ありません
病院のお薬で急激な血圧上昇や痛みをコントロールしながら、漢方薬で「自律神経やホルモンバランス」を整え、根本から血圧が変動しにくい体質を作っていく方法は大変おすすめです。

飲み合わせの確認も行いますので、ご相談時にお薬手帳などをお知らせください。

どのような漢方薬を使いますか?

更年期高血圧に対しては、主に「ホルモンバランスを整える漢方」や「自律神経を整える漢方」をご用意しております。
更年期は頭痛、めまい、イライラ、動悸、不眠など様々な症状が複合的に出やすいため、ご相談時に「一番改善したいお悩み」をお伺いし、お客様の体質に最も適したものをオーダーメイドでお組みいたします。

更年期が過ぎれば、血圧も自然に下がりますか?

ホルモンバランスが安定する閉経後数年で落ち着く方もいらっしゃいますが、そのまま慢性的な高血圧症へと移行してしまう方も少なくありません
血管への負担を長引かせないためにも、更年期の期間中から漢方で適切なお身体のケアをしておくことが大切です。


併せて読みたい関連疾患・お悩み

更年期高血圧は、ホルモンバランスや自律神経の乱れ、血流と密接に関わっています。

以下の記事も併せてご覧ください。

【性交痛】(エストロゲンの低下による潤い不足やデリケートゾーンのトラブル)
【自律神経失調症】(ホルモンバランスの乱れからくる交感神経の過緊張と血圧の乱高下)
【不眠】(自律神経の乱れによる睡眠の質の低下と、それに伴う血圧への悪影響)
【PMS】(更年期に差し掛かる時期の女性ホルモンの激しい揺らぎと心身の不安定さ)
【生理痛】(更年期移行期のホルモンバランスの変化や、血流の滞りによる痛みの悪化)
【不正出血】【更年期の諸症状】(女性ホルモンの分泌低下や周期の乱れに伴う、更年期特有のサイン)


漢方薬剤師 櫻井 絵梨子(さくらい えりこ)

病院・調剤薬局の勤務を経て漢方の道へ

関心のある疾患:婦人科疾患・不妊症

【趣味】
旅行・美味しいお店巡り


漢方薬剤師 宮本 貴美(みやもと たかみ)

調剤薬局、漢方薬局での勤務を経験

漢方以外にもアーユルヴェーダ・メディカルハーブ・アロマ・分子栄養学など幅広く学び、国際中医師も所持

関心のある疾患は、婦人科疾患、不妊症、皮膚疾患

【趣味】
美味しいお店巡り、ヨガ、旅行、読書