【毎日のシーツ洗いに悩むパパ・ママへ】夜尿症の原因と、身体の成長をサポートする漢方アプローチ

「毎朝シーツやパジャマを洗濯しなければならず、本人も親も負担が大きい…。」

「小学校に入学してもおねしょが直らず、林間学校や修学旅行が心配…。」

「病院で治療を始めたけれど、なかなか変化が見られない…。」

夜寝ている間に無意識に排尿してしまう状態は、幼児期であれば一般的に「おねしょ」と呼ばれますが、小学校入学時期である「5〜6歳」を過ぎても続く場合は「夜尿症(やにょうしょう)」と呼ばれます。
実は、5歳では6人に1人、10歳では20人に1人、15歳でも100人に1人と、ある程度のご年齢になっても夜尿症でお悩みの方は多く、5〜15歳全体で見ると「16人に1人」が該当すると言われています。

デリケートな問題ゆえに周囲に相談できず、お子様ご自身も深く傷つき、ストレスを抱えてしまうケースが少なくありません。
「いつかは治るだろう」と見守ることも大切ですが、ご家族の負担やご本人の自信喪失を防ぐためにも、早めのケアが推奨されています。
漢方では、成長段階にある「膀胱の筋力」や「自律神経のバランス」に優しく働きかけ、無理なく朝まで尿を溜められる・起きられる体質づくりをサポートします。


目次

西洋医学の視点

夜尿症で小児科や泌尿器科を受診した場合、西洋医学では主に「生活指導」「アラーム療法」「お薬による治療」が行われます。
まず推奨されるのが、水分を感じると音が鳴るセンサーを下着につけるアラーム療法です。
睡眠中に尿意で起きる訓練をしますが、「子どもを起こしてトイレに連れて行く」という毎晩の作業が必要なため、ご家族が寝不足になり継続が困難になる場合が多くあります。

お薬としては、尿量を減らす抗利尿ホルモン薬デスモプレシンなど)や、膀胱の緊張を緩める抗コリン薬が使用されます。
ただし、デスモプレシンは就寝前の水分摂取制限を厳密に守らないと「水中毒」を引き起こし、頭痛や痙攣などの副作用が現れるリスクがあるため、服薬管理に細心の注意が必要です。
(※また、終わりの見えない毎日のシーツ洗いや、夜間の付き添いによる睡眠不足から、保護者の方が重い頭痛や肩こりに悩み、日常的にロキソニン等の鎮痛剤を手放せない…といったご相談も少なくありません。
夜尿症のケアは、ご本人だけでなく支えるご家族の心身の健康も非常に大切です。)


西洋医学と東洋医学(漢方)のアプローチの違い

西洋医学の治療は、ホルモン薬で直接的に尿量を減らしたり、アラームで条件反射を作ったりする「対症療法・行動療法」に優れています。
一方、東洋医学(漢方)は、「なぜ尿を溜めておけないのか?」「なぜ尿意で起きられないのか?」という根本的な体質と発育状況に着目します。
東洋医学では、近年のお子様は外で遊ぶ機会が減ったこと(テレビやスマホの普及など)による「下半身の筋力発達の遅れ」や、ストレスによる「自律神経の乱れ」が夜尿に大きく影響していると考えます。
お薬で無理に尿を止めるのではなく、膀胱の筋肉を育て、睡眠と覚醒のメリハリをつけることで、身体が本来持っている機能を自然に引き出していくのが漢方のアプローチです。


漢方が考える原因

Reiyodoでは、夜尿症の主な原因を東洋医学の観点から以下の3つに大別し、お子様の体質や症状に合わせてオーダーメイドで漢方をお組みしています。

原因のタイプ具体的な状態・特徴東洋医学(漢方)のアプローチ方向
膀胱の筋肉の発達の遅れ
(腎虚など)
膀胱に尿を溜めておく容量が少ない
運動不足などによる筋力不足。
加齢による大人の夜尿。
膀胱を締める力をサポートします。
筋肉を強める漢方薬で、尿をしっかり保持できるベースを育てます。
覚醒障害
(気虚・陽虚など)
尿意を感じているはずなのに、眠りが深すぎて目を覚ますことができない状態。睡眠中の覚醒スイッチを刺激します。
覚醒作用のある漢方薬で、尿意を感じた時に自然に起きられるよう手助けをします。
自律神経の乱れ
(肝気鬱結など)
学校でのストレスや環境変化、プレッシャーにより、自律神経が過緊張になっている状態。ストレスを和らげ、リラックスを促します。
自律神経を調節する漢方薬で、就寝中の過剰な緊張を解きほぐします。

【先生コラム①】外遊びの減少が影響?『膀胱の筋肉』を内側から育てる漢方

担当薬剤師:櫻井絵梨子(病院・調剤薬局での勤務経験あり)

夜尿症のご相談でよく見受けられるのが、「膀胱の筋肉の発達の遅れ」です。
昔に比べて外遊びが減少し、座っている時間が長くなった現代のお子様は、骨盤底筋などの下半身の筋力が発達しにくく、膀胱に尿を留めておく力が弱い傾向があります。

漢方では、こうした発育段階の筋力を内側からサポートする処方が豊富にあります。
また、この「筋肉を強める漢方薬」は、実はお子様だけでなく、加齢によって筋力が低下し、夜間のトイレに悩む大人の方(夜間頻尿など)のケアにも応用できる優れたアプローチなんですよ。

【先生コラム②】焦りが夜尿症を長引かせる悪循環に。張り詰めた心を解きほぐす漢方

担当薬剤師:倉本智里(製薬会社・調剤薬局での勤務経験あり)

病院でアラーム療法を勧められたけれど、親子ともにヘトヘトになってしまった」「お薬(デスモプレシン)の副作用が心配で続けられない」というお母様からの切実なご相談を数多くお受けします。

夜尿症は、「早く治さなきゃ」という親御さんの焦りがお子様にも伝わり、それがストレスとなって自律神経を乱し、余計に夜尿症が長引いてしまうという悪循環に陥りやすい疾患です。

漢方は、そんなプレッシャーで張り詰めたお子様の心を「自律神経を調節する漢方薬」で優しく解きほぐします。
どうかご自分たちを責めず、リラックスして体質改善に取り組んでいきましょう。


夜尿症の症例経過

① 10代 女性(幼児期から続く夜尿症)

幼児期から夜尿症が続いており、ご本人も深く悩みご相談いただきました。
膀胱の保持力不足とストレスが原因と考え、「筋肉を強める漢方」「自律神経を整える漢方」「尿量を調節する漢方」をご提案しました。
服用を続けていただいたところ、徐々に朝まで尿を溜められるようになり、夜間に尿を漏らしてしまうことがなくなりました。
修学旅行にも安心して参加できたとお喜びいただいています。

② 10代 男性(5・6年前から続く夜尿症)

小学校低学年の頃から5、6年ほど夜尿症が続いており、焦りやストレスも大きいご様子でした。
筋肉を強める漢方」と「自律神経を整える漢方」を中心にお組みし、1ヶ月ほど服用していただいたところ、まずは漏らしてしまう頻度が7割ほど改善。
その後も継続することで尿を漏らすことがなくなり、現在も調子の良い状態を維持されています。

③ 10歳未満 男性(覚醒障害による夜尿症)

幼児期から夜尿症が続いており、「夜中に尿意があっても起きることができずに漏らしてしまう」というお悩みでした。
深い眠りからの切り替えをサポートするため、「自律神経を整える漢方」と「覚醒作用のある漢方」を組み合わせてご提案。
根気よく1年ほど服用を続けていただいた結果、尿意で起きられるようになり、尿を漏らすことがほとんどなくなって、ご家族も安心されています。


夜尿症のお悩みに関するQ&A

病院で処方されているお薬(デスモプレシン等)や、保護者が飲んでいる頭痛薬(ロキソニン等)と併用しても大丈夫ですか?

基本的には、病院で処方される夜尿症のお薬(デスモプレシン抗コリン薬など)と漢方薬の併用は可能です。
西洋薬で尿量をコントロールしつつ、漢方で根本的な筋力や自律神経を整えるのは効果的なアプローチです。
また、親御さんが服用される鎮痛剤等と漢方の飲み合わせについてもお答えできますので、現在服用中のお薬がある場合は事前にお知らせください。

漢方薬は子供でも飲める味ですか?

漢方特有の風味はありますが、お子様向けの処方は比較的飲みやすいマイルドな味のものを選ぶことが多いです。
どうしても飲みにくい場合は、少量の蜂蜜(※1歳以上)を混ぜたりして飲ませる工夫をアドバイスいたします。
上手に飲めた時はたくさん褒めてあげて、成功体験に繋げていきましょう。

アラーム療法に挫折してしまいましたが、漢方だけでも良くなりますか?

はい、アラーム療法がご家庭の負担になり継続できなかった方でも、漢方によるアプローチで体質から変化を目指すことは十分に可能です。
覚醒作用のある漢方」などを用いて、身体の内側から自然に起きられる・溜められるリズムを作っていくサポートをいたします。

漢方はどのくらい飲み続けないと効果が出ないですか?

お子様は代謝が活発なため比較的早く変化を感じることもありますが、膀胱の筋肉の発達や自律神経のバランスがしっかりと定着するまでには、細胞が生まれ変わる「約3ヶ月」を一つの目安として根気よく続けていただくことをお勧めしています。
症状が長く続いている場合は半年〜1年単位でじっくり体質を育てていく必要があります。


併せて読みたい関連疾患・お悩み

夜尿症や排尿のトラブルは、自律神経の乱れや筋力の発達、睡眠の問題と密接に関わっています。

以下の記事も併せてご覧ください。

【お子様の疾患と漢方】
【夜泣き・夜驚症】(お子様の睡眠トラブル、覚醒のアンバランス)
【頻尿(過活動膀胱)】(膀胱の筋力低下、大人の尿トラブル)
【自律神経失調症】(ストレス、プレッシャーによる心身の過緊張)
【不眠症】(付き添いや看病で寝不足にお悩みの保護者の方へ)


漢方薬剤師 櫻井 絵梨子(さくらい えりこ)

病院・調剤薬局の勤務を経て漢方の道へ

関心のある疾患:婦人科疾患・不妊症

【趣味】
旅行・美味しいお店巡り


漢方薬剤師 倉本 智里(くらもと ちさと)

製薬会社、化粧品会社、調剤薬局勤務などを経験。

その他、体の内側から体調を整える食養生や腸活の知識を習得。

関心のある疾患:皮膚疾患、婦人科疾患

【趣味】
菌活、腸活、カフェ巡り