【味がしない・いつもと違う】味覚障害の原因と対策!西洋医学と漢方のアプローチの違い

「食事の味が全くしない、砂を噛んでいるようだ」

「甘みだけ感じないなど、特定の味だけが分からない」

「何も口にしていないのに、常に苦味や塩味を感じる(自発性異常味覚)」

「いつも食べているものが不味く感じたり、嫌悪感がある(異味症・悪味症)」

毎日の楽しみであるはずの食事が苦痛に変わってしまう「味覚障害」。
味に対する感度が低下したり、消失したりするだけでなく、本来とは違う味を感じてしまうなど、症状の現れ方は様々です。

好発年齢は50~60歳をピークに高齢者に多いとされてきましたが、近年では若い年代にも増加しています。
特に、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症(コロナ後遺症)をきっかけに、年齢を問わず味覚障害に悩む方が急増しました。

主な原因としては、食生活の偏りによる「亜鉛などのミネラル不足」、ストレスによる「自律神経の乱れ」、加齢、唾液の減少による「口腔の乾燥」などが挙げられます。
また、日常的に服用している降圧剤抗生物質、風邪や痛みの際に飲む解熱鎮痛剤(ロキソニンなど)といった「薬剤の副作用」が関係しているケースも少なくありません。
味覚障害が慢性化すると、脳がその異常な感覚を記憶してしまい、さらに悪化や長期化を招く恐れがあるため、早めのケアが大切です。


目次

西洋医学の視点

最も多いとされる「亜鉛欠乏性味覚障害」の場合、舌にある味を感じる細胞(味蕾:みらい)の働きを正常にするために、亜鉛製剤(プロマックなど)が処方され、ミネラルの補充を行います。

また、服用中の薬が原因と考えられる「薬剤性味覚障害」の場合は、医師の判断のもとで原因となっている薬の減量や変更が検討されます。
降圧剤、抗うつ薬、抗生物質のほか、日常的によく使われる解熱鎮痛剤(ロキソニンなど)や胃腸薬の長期服用が、体内の亜鉛の吸収を妨げたり排泄を促したりして、味覚に影響を及ぼしていることもあります。

心因性のストレスが強い場合には抗不安薬が処方されるなど、原因に応じた対症療法が行われます。


西洋医学と東洋医学(漢方)のアプローチの違い

西洋医学の治療は、亜鉛製剤でお薬として直接的にミネラルを補充したり、原因となっている薬剤を特定して中止するなど、明確な原因に対するスピーディーな対処を得意としています。
一方で東洋医学(漢方)は、「なぜ身体からミネラルが不足しやすくなっているのか(胃腸の吸収力の低下など)」「なぜストレスで脳や神経が過敏になり、味覚が狂ってしまっているのか」という、お身体全体の機能やバランスの乱れに目を向けます。

東洋医学では、味覚障害を単なる舌の問題ではなく、全身に栄養を届ける「血(けつ)」やエネルギーである「気(き)」の不足、あるいは「気」の滞り(自律神経の乱れ)が深く関わっていると考えます。
漢方薬によって、胃腸の働きを助けて食事から自然にミネラルを吸収できる土台を作り、ストレスで高ぶった自律神経を優しく鎮め、口内を潤すことで、味蕾の細胞が正常に働きやすい健やかなお身体づくりをサポートします。

「病院で亜鉛のお薬を飲んでも変化が乏しい」「ストレスや疲れも一緒に根本から整えたい」という方は、西洋医学の治療と並行して、漢方薬でお身体のベースを整えていくことが非常に有効な選択肢となります。


漢方が考える原因

Reiyodoでは、味覚障害の原因を東洋医学の観点から以下のタイプに大別し、お客様の体質や症状に合わせてオーダーメイドで漢方をお組みしています。

原因のタイプ具体的な状態・特徴東洋医学(漢方)のアプローチ方向
ミネラル・栄養の不足
(気血の不足)
食生活の偏り、感染症による消耗、胃腸の弱りなどにより、舌の味蕾を正常に保つためのミネラル(亜鉛など)や栄養が不足している状態。ミネラルを補充する(気血を補う)漢方を使用します。
身体に栄養を行き渡らせ、味蕾の働きを支えることで味覚の正常化を促します。
自律神経の乱れ
(気の滞り)
ストレスや緊張により交感神経が過剰に活発になり、脳や神経が過敏になっている状態。
慢性化すると脳が異常を記憶し悪化しやすくなります。
自律神経を整える漢方を使用します。
心身の緊張を解きほぐし、ストレスに対する抵抗力をつけることで、神経系の過敏な状態を和らげます。
口腔の乾燥
(津液の不足)
加齢や薬の副作用、ストレスなどにより唾液の分泌が減り、食べ物の味が味蕾に伝わりにくくなっている状態(ドライマウス)。潤いを補う(水の巡りを整える)漢方を使用します。
お身体の内側から潤いを生み出す力を高め、口腔内の乾燥を防ぎます。

【先生コラム①】コロナ後遺症や偏食に潜む『ミネラル不足』と胃腸のチカラ

担当薬剤師:倉本智里(製薬会社・調剤薬局での勤務経験あり)

近年、新型コロナやインフルエンザに罹った後から「味がしない」とご相談に来られる若い方が急増しています。
感染症による急激な体力の消耗や、普段のレトルト食品中心の偏った食生活は、体内のミネラル(特に亜鉛)を一気に不足させてしまいます。

しかし、サプリメントで亜鉛だけを摂っても、それを吸収する「胃腸のチカラ」が落ちていては身体に行き渡りません。
漢方では、まず胃腸の働き(脾胃)を元気にするお薬をお出しすることで、食事からのミネラル吸収力を底上げし、自然な形で味覚が戻りやすい体質へと導いていきます。

【先生コラム②】ストレスと多剤服用に注意?『自発性異常味覚』と自律神経

担当薬剤師:櫻井絵梨子(病院・調剤薬局での勤務経験あり)

「何も食べていないのに口の中が苦い・しょっぱい」といった自発性異常味覚は、強いストレスや緊張状態が続いている方に多く見られます。
身体が危険を感じて交感神経が優位になりすぎると、脳への信号伝達が乱れてしまうのです。

また、日常的な頭痛でロキソニンなどの鎮痛剤を多用したり、降圧剤などを多剤服用していると、それが身体へのストレスとなり味覚に影響することも。
漢方では「自律神経を整えるお薬」を用いて、張り詰めた心と身体の緊張を緩め、脳の過敏な状態を優しくリセットしていくケアを行います。


味覚障害の症例経過

① 20代 女性(感染症後の味覚・嗅覚の低下)

新型コロナウイルスに感染した後から、食事の味が全く分からなくなりご相談いただきました。
感染症による激しい消耗とミネラル不足と考え、「ミネラルを補充し、気血を補う漢方薬」をお出しいたしました。

服用開始から1ヶ月で「うっすらと塩味や甘みを感じるようになった」と変化が現れ、3ヶ月目にはほとんど元の状態まで味覚が戻り、食事を楽しめるようになられました。

② 50代 男性(ストレスによる自発性異常味覚と悪味症)

仕事の強いストレスを抱えており、何も食べていないのに口の中が苦く、大好物だったはずの食事が不味く感じてしまうとお悩みでした。
ストレスによる自律神経の乱れ(気の滞り)が原因と考え、「自律神経を整える漢方薬」を服用していただきました。

1ヶ月目でイライラや疲労感が軽減し、2ヶ月目には口の中の苦味が減少。
4ヶ月目には食べ物の味が正常に感じられるようになり、悪味症もすっかり落ち着かれました。

③ 60代 女性(加齢・口腔乾燥に伴う味覚低下)

最近、口の中がパサパサに乾燥し(ドライマウス)、それに伴って味の濃いものでないと味を感じにくくなったとご相談いただきました。
加齢に伴う潤い(津液)の不足と唾液減少によるものと捉え、「潤いを補う漢方薬」と「ミネラルを補充する漢方薬」を組み合わせてお組みしました。

2ヶ月ほどで口の渇きが気にならなくなり、唾液がしっかり出るようになったことで、薄味の和食でも出汁の風味をしっかりと味わえるまで回復されました。


味覚障害のお悩みに関するQ&A

病院で処方されている亜鉛のお薬(プロマックなど)や、ロキソニン等の鎮痛剤と漢方薬は一緒に飲めますか?

はい、基本的には併用していただいて問題ありません。
病院の亜鉛製剤で直接的にミネラルを補いながら、漢方薬で「胃腸の吸収力を高める」「自律神経を整える」といったお身体のベース作りを並行して行うのは非常に効果的です。

現在服用中のお薬がある場合は、飲み合わせを確認いたしますのでお薬手帳をご提示ください。

味覚障害に対して、どのような漢方薬を使いますか?

お客様の症状や体質に合わせて、「ミネラルを補充する漢方」「自律神経を整える漢方」「潤いを補う漢方」などを主にご用意しております。
味が全くしないのか、異常な味がするのか、口の渇きやストレスはあるか等をお伺いし、最も適した漢方をオーダーメイドでお組みいたします。

漢方薬を飲むと、どのくらいで味覚は戻ってきますか?

味覚の細胞(味蕾)が新陳代謝で生まれ変わるサイクルなどを考慮すると、変化を感じるまでに早い方で1ヶ月程度、一般的には3ヶ月〜半年ほどじっくりと取り組んでいただくことが多いです。

特に慢性化して脳が異常を記憶してしまっている場合は時間がかかることもあるため、焦らずに体質改善を続けていくことが大切です。


併せて読みたい関連疾患・お悩み

味覚障害は、ドライマウスや自律神経の乱れ、胃腸の不調などと密接に関わっています。

以下の記事も併せてご覧ください。

【ドライマウス・口の渇き】
【味覚障害】
【自律神経失調症】
【胃腸虚弱・食欲不振】


漢方薬剤師 倉本 智里(くらもと ちさと)

製薬会社、化粧品会社、調剤薬局勤務などを経験。

その他、体の内側から体調を整える食養生や腸活の知識を習得。

関心のある疾患:皮膚疾患、婦人科疾患

【趣味】
菌活、腸活、カフェ巡り


漢方薬剤師 櫻井 絵梨子(さくらい えりこ)

病院・調剤薬局の勤務を経て漢方の道へ

関心のある疾患:婦人科疾患・不妊症

【趣味】
旅行・美味しいお店巡り