【手汗・顔汗・全身の滝汗】多汗症の原因と対策!西洋医学と漢方のアプローチの違い

「季節を問わず、急に顔や頭から滝のように汗が吹き出す」

「緊張すると手のひらや足の裏が汗でびっしょりになり、書類やスマホの操作に困る」

「病院でお薬をもらったり制汗剤を試したが十分な変化を感じられず、日常生活や仕事に支障が出ている」

季節の暑さや運動の有無にかかわらず、日常生活に支障をきたすほど過剰に汗をかいてしまう「多汗症(たかんしょう)」。
全身に汗をかく「全身性多汗症」と、手のひら・足の裏・脇の下・頭部・顔面など身体の一部だけに集中して汗をかく「局所多汗症」に分けられます。
特に手のひらや脇の下の多汗症は、日本人の約20人に1人が悩んでいるとされ、重度の症状でお困りの方は全国にそれぞれ220万人以上いると推計されています。

多汗症の原因は、ストレスや緊張による「交感神経の過剰な活性化」、更年期や思春期などの「ホルモンバランスの乱れ」、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)や感染症、神経疾患などの病気、さらにはお薬の副作用まで多岐にわたります。
風邪や痛みで服用する解熱鎮痛剤(ロキソニンなど)精神科領域の処方薬、サプリメントなどが影響しているケースもあります。
「単なる汗かき体質だから」と我慢して放置してしまうと、強い精神的ストレスから対人不安や更年期症状の悪化につながることもあるため、適切な原因の把握と早めのケアが大切です。


目次

西洋医学の視点

西洋医学における多汗症へのアプローチは、まず他の疾患(甲状腺疾患や感染症など)が原因で起きている二次性多汗症ではないかを確認し、症状が出ている部位や重症度に応じた治療が行われます。
一般的な外用療法として、汗腺の出口を塞ぐ塩化アルミニウム液の塗布や、原発性局所多汗症(手汗・脇汗など)に対して汗を抑える抗コリン外用薬(エクロックゲルやラピフォートワイプなど)が用いられます。

また、全身性の多汗症や強い精神的ストレスを伴う場合は、汗の分泌を促す神経伝達物質をブロックする抗コリン内服薬(プロバンサインなど)や、自律神経を和らげる抗不安薬が処方されることもあります。
なお、風邪や炎症性の痛みの際に処方される解熱鎮痛剤(ロキソニンなど)を服用した際、解熱作用(熱を下げる過程)に伴って一時的に大量の発汗が生じることがあり、こうした薬剤による発汗への影響についても考慮されます。

重度の手汗などに対しては、交感神経を遮断する手術(ETS手術)やボトックス注射といった選択肢が検討されることもあります。


西洋医学と東洋医学(漢方)のアプローチの違い

西洋医学の治療は、抗コリン薬で汗腺への神経刺激を直接遮断したり、制汗外用薬で汗腺を塞ぐなど、過剰な「汗の分泌そのものを素早く抑える」対症療法を得意としています。
一方で東洋医学(漢方)は、「なぜ汗を調整する自律神経が過剰に興奮してしまうのか」「なぜ体内の水分コントロールが崩れ、汗として漏れ出てしまうのか」という、体全体の水分代謝や自律神経のバランスに目を向けます。

東洋医学では、汗は体内の必要な水分(津液:しんえき)の一部であり、それを体内に繋ぎ止めるバリア機能(衛気:えき)の低下や、自律神経(気)の乱れ、体内の「水毒(水滞)」が複雑に影響し合って多汗が起こると考えます。
漢方薬によって、自律神経の昂りを鎮め、皮膚のバリア機能を高めて汗の漏れを防ぎ、体内の余分な水の巡りを整えることで、汗をかきにくい根本的なお身体づくりをサポートします。

「西洋薬の口の渇きなどの副作用が気になる」「汗だけでなく、更年期のイライラや冷え・むくみも一緒に改善したい」という方は、西洋医学の治療と並行して、漢方薬でお身体のベースを整えていくことが非常に有効な選択肢となります。


漢方が考える原因

Reiyodoでは、多汗症の原因を東洋医学の観点から以下のタイプに大別し、お客様の体質や症状に合わせてオーダーメイドで漢方をお組みしています。

原因のタイプ具体的な状態・特徴東洋医学(漢方)のアプローチ方向
自律神経の乱れストレスや緊張、更年期などのホルモン変動により交感神経が過剰に活性化し、汗腺が過敏に刺激されて「多汗症」に至る状態。自律神経を調節する漢方薬を使用します。
自律神経を整えることで、汗腺への刺激が適度になり過剰な汗もおさまります。
水を保つ力の低下
(気虚など)
体表を守り、汗を適度にとどめるバリア機能(保水力)が弱く、体内の水分が汗として外へ漏れ出る量が多くなっている状態。汗の漏れを抑える漢方を使用します。
水を保持する力を高めることで、体外へ漏れ出る汗の量を少なくしていきます。
身体の水の滞り
(水毒など)
水分の滞りにより体内での巡りや排泄が上手くいかず、余分な水分が汗としてあふれ出て「多汗症」に至っている状態。水の巡りを良くする漢方薬を使用します。
水の巡りを整えることで、余分な水分が汗以外の形でスムーズに排泄されるため汗がおさまります。

【先生コラム①】手汗・顔汗が止まらない…『交感神経の暴走』と漢方の役割

担当薬剤師:倉本智里(製薬会社・調剤薬局での勤務経験あり)

人前で話をするときや、書類を書くときに「汗をかいたらどうしよう」と焦るほど、さらに汗が吹き出してしまう…そんな経験はありませんか?
これは、ストレスやプレッシャーによって「交感神経」が過剰に活性化し、汗腺を一気に刺激してしまうために起こります。

漢方では、この状態を自律神経(気の巡り)の乱れと捉えます。
心を穏やかに鎮め、気の上衝(頭部への熱やエネルギーの昇り)を抑える漢方薬を用いることで、緊張した場面でも交感神経が暴走しにくいしなやかなお身体を作ることができます。

【先生コラム②】更年期の『ホットフラッシュ・滝汗』はバリア機能と水分バランスの乱れ

担当薬剤師:宮本貴美(調剤薬局・漢方薬局での勤務経験あり)

40代~50代の女性からよくご相談いただくのが、「上半身や顔、頭から急に汗が噴き出して止まらない」という更年期特有の多汗症状です。
これは女性ホルモンの減少による自律神経の乱れに加え、東洋医学でいう「汗を体内に留めておく力(保水力・衛気)」が弱まっていることが原因です。

水分を抱え込む力を養いながら、体内にこもった余分な熱を逃がす漢方薬をお選びすることで、不快なホットフラッシュや滝汗を穏やかに和らげていくことが可能です。


多汗症の症例経過

① 40代 女性(梅雨時期や気温上昇時の多量の汗)

梅雨の湿気が多い時期や、気温が高い場所にいる際に多量の汗が出るとのご相談いただきました。
自律神経を整える漢方」「汗の漏れを抑える漢方」「水の巡りを良くする漢方」を服用していただいた所、気になっていた大量の発汗が落ち着き、快適に過ごせるようになりました。

② 10代 女性(緊張時の手のひらの大量の発汗)

緊張した際の手のひらの大量の汗にお悩みでご相談いただきました。
自律神経を整える漢方」「汗の漏れを抑える漢方」をお出しして服用いただいた所、緊張自体も落ち着きやすくなり、手のひらの汗も気にならなくなりました。

③ 50代 女性(更年期に伴う頭部の多量の汗)

更年期の年齢に差し掛かり、特に夏場に頭部から流れる多量の汗に悩まされご相談いただきました。
自律神経を整える漢方」「汗の漏れを抑える漢方」を1年ほど根気よく服用していただいた所、汗の量が大幅に少なくなり、体調も良好になられました。


多汗症のお悩みに関するQ&A

病院で処方されている多汗症のお薬(抗コリン薬など)やロキソニン等の痛みの薬と併用できますか?

はい、基本的には併用していただいて問題ありません。
西洋薬で急な発汗症状を一時的に抑えつつ、漢方薬で自律神経や体内の水分代謝そのものを整えていくアプローチは非常におすすめです。
現在服用中のお薬(解熱鎮痛剤精神科処方薬など)がある場合は、飲み合わせを確認いたしますのでお薬手帳をご提示ください。

多汗症に対してどのような漢方薬を使いますか?

お客様の症状や体質に合わせて、「自律神経を整える漢方」「汗をおさえる(漏れを防ぐ)漢方」「水の巡りを良くする漢方」などを主にご用意しております。
手汗・顔汗・更年期のホットフラッシュなど、一番お困りの症状をお伺いした上で最適な漢方をオーダーメイドでお組みいたします。

漢方薬を飲むと、どのくらいで汗が落ち着いてきますか?

汗の原因(緊張性、更年期性、代謝異常など)や体質によって個人差があります。
緊張に伴う一時的な発汗などは1〜2ヶ月で実感される方もいらっしゃいますが、体内の水分代謝やホルモンバランスを根本から整えるためには、3ヶ月〜1年程度じっくりお続けいただくことをおすすめしております。


併せて読みたい関連疾患・お悩み

多汗症は、自律神経の乱れや更年期障害と密接に関わっています。

以下の記事も併せてご覧ください。

【自律神経失調症】(ストレス、プレッシャーによる心身の過緊張)
【更年期の諸症状】(更年期によるホットフラッシュ、多汗、疲労倦怠感)


漢方薬剤師 倉本 智里(くらもと ちさと)

製薬会社、化粧品会社、調剤薬局勤務などを経験。

その他、体の内側から体調を整える食養生や腸活の知識を習得。

関心のある疾患:皮膚疾患、婦人科疾患

【趣味】
菌活、腸活、カフェ巡り


漢方薬剤師 宮本 貴美(みやもと たかみ)

調剤薬局、漢方薬局での勤務を経験

漢方以外にもアーユルヴェーダ・メディカルハーブ・アロマ・分子栄養学など幅広く学び、国際中医師も所持

関心のある疾患は、婦人科疾患、不妊症、皮膚疾患

【趣味】
美味しいお店巡り、ヨガ、旅行、読書