【健診で脂肪肝や肝臓の数値(AST・γ-GTP)を指摘されたら】原因と対策!西洋薬と漢方のアプローチの違い

「健康診断でASTやALT、γ-GTPの数値が高く、要再検査になってしまった」

「お酒の量は増えていないのに、脂肪肝やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)と言われた」

「疲れが抜けず足もしょっちゅうつるが、病院のお薬以外にも根本的な体質改善をしたい」

「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、不調が起きても初期には自覚症状が現れにくく、血液検査(AST、ALT、γ-GTP、LDLコレステロールなど)の数値の変動によって初めて異常に気づくケースがほとんどです。
近年では、アルコールの過剰摂取だけでなく、食生活の欧米化や運動不足による「脂肪肝」や、お酒を飲まない人にも増えている「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」、LDLコレステロール値が高くなる「脂質異常症」などが急増しています。40~60歳の女性で最も多いとされていますが、あらゆる年齢層で起こりえます。

進行すると、「疲れやすくなった」「足がつりやすくなる」「むくみ」「便秘」といった体全体の不調として表れ始めます。
主な原因には生活習慣の乱れやストレスのほか解熱鎮痛薬(ロキソニンなど)やサプリメントの常用による「薬剤性」、さらには重症化に注意が必要な「肝炎ウイルスの感染」など多岐にわたるため、早めのケアが重要です。


目次

西洋医学の視点

肝臓の不調に対する西洋医学の視点では、血液検査や超音波(エコー)検査などで炎症の程度や脂肪の蓄積状態、ウイルスの有無を正確に捉え、原因に応じた治療や対症療法を行うことが基本となります。

一般的なアプローチとして、肝機能を助け胆汁の働きを良くするウルソデオキシコール酸(ウルソなど)や、肝細胞を保護するお薬が処方されます。

ウイルス性肝炎に対しては抗ウイルス薬、脂質異常症や脂肪肝に伴う高コレステロール血症にはスタチン系などの代謝改善薬が用いられます。
また、日常的に服用しているお薬(ロキソニンなどの解熱鎮痛剤各種内服薬)が肝臓の負担となっている「薬剤性」が疑われる場合は、一時的な休薬や処方の変更が検討されます。


西洋医学と東洋医学(漢方)のアプローチの違い

西洋医学の治療は、ウルソなどのお薬で肝臓の働きを直接補助したり、ウイルスの増殖を抑えたり、脂質数値をコントロールするなど、明確な原因や「数値の異常」に対して速やかにアプローチすることを得意としています。

一方で東洋医学(漢方)は、「なぜ肝臓に負担が集中し、解毒や排泄の処理能力が追いつかなくなってしまったのか」という、体全体のバランスの乱れに目を向けます。
漢方薬によって、過剰な熱や老廃物を穏やかに追い出し、胆汁の巡りを整えて肝臓が本来持っている「解毒機能」を発揮しやすい環境を整えます。

「数値を下げるだけでなく、慢性的なだるさも解消したい」「お薬と並行して、肝臓に負担をかけにくい根本的な体質づくりをしたい」という方は、西洋医学の検査や治療と並行して、漢方薬でお身体のベースを整えていくことが非常に有効な選択肢となります。


漢方が考える原因

Reiyodoでは、肝臓の不調の主な原因を東洋医学の観点から以下の4つのタイプに大別し、お客様の体質や症状に合わせてオーダーメイドで漢方をお組みしています。

原因のタイプ具体的な状態・特徴東洋医学(漢方)のアプローチ方向
肝臓の解毒機能の低下食生活の欧米化やアルコールの摂取、お薬の常用などにより肝臓に過度な負担がかかり、毒素を処理する機能が低下している状態。肝臓の解毒機能を高める漢方を使用します。
解毒・代謝を助けることで肝臓の負担を減らし、全身のだるさや不調の改善を目指します。
胆汁分泌の低下肝臓で作られる「胆汁」の分泌が滞り、消化・吸収だけでなく老廃物の排泄がスムーズに行われず、機能が低下している状態。胆汁分泌を促す漢方を使用します。
胆汁の流れをスムーズにすることで消化・排泄を促し、肝機能の回復をサポートします。
肝臓の熱のこもり肝臓が休みなく働き続けることで、体内に余分な「熱」がこもり、さらなる機能低下や炎症につながっている状態。清熱作用のある漢方を使用します。
肝臓に溜まった過剰な熱を優しく鎮め、お身体の回復を促します。
ウイルスの影響ウイルスによって慢性肝炎となり、放置すると肝硬変や肝がんへ至るリスクがある状態。ウイルスを鎮静化する漢方を使用します。
身体の免疫バランスを整え、ウイルスによる肝臓の障害がひどくならないようサポートします。

【先生コラム①】お酒を飲まないのになぜ?急増する非アルコール性脂肪肝(NASH)

担当薬剤師:宮本貴美(調剤薬局・漢方薬局での勤務経験あり)

最近のご相談で非常に多いのが、「お酒は一滴も飲まないのに、健診で脂肪肝を指摘された」というお悩みです。
これは食生活の欧米化(糖質・脂質の過剰摂取)や運動不足、ストレスなどにより、肝臓の処理能力を超えて脂肪が蓄積してしまうことが原因です。

漢方では、こうした状態を「代謝の滞り」と捉えます。
解毒機能を高め、胆汁の分泌を促す漢方薬を活用することで、身体に溜まった余分なものをスムーズに排泄し、すっきりとした肝臓の環境づくりをお手伝いいたします。

【先生コラム②】足のつりや慢性的な疲労は、肝臓からのSOSサイン

担当薬剤師:倉本智里(製薬会社・調剤薬局での勤務経験あり)

肝臓は沈黙の臓器と言われますが、実は「全身の疲れが取れない」「夜中に足がよくつる(こむら返り)」といった症状は、東洋医学において肝臓の働き(肝血)が不足したり、負担がかかっているサインと考えられています。

健診の数値(ASTやALT)に異常が出た時は、すでに肝臓がSOSを出している状態です。
漢方薬で肝臓の熱を冷まし、解毒の働きを優しくサポートすることで、数値の改善だけでなく、毎日を元気に過ごせる「疲れにくいお身体」を取り戻していきましょう。


肝臓の症例経過

① 30代 男性(健康診断でのAST・ALT数値上昇)

病院の検査で「AST、ALTの数値が高い」と指摘を受け、将来への不安からご相談いただきました。
食生活やストレスから肝臓の解毒機能が低下している状態と考え、「肝臓の解毒機能を良くする漢方」をご提案。

2ヶ月服用していただいたところ、再検査の血液検査で数値がしっかりと下がり、3ヶ月目にはさらに改善され、無事に基準値に戻ったと大変お喜びいただきました。

② 50代 女性(脂肪肝のお悩みと減量)

「脂肪肝」にお悩みで、お薬に頼る前にお身体の内側から見直したいとご相談いただきました。
代謝の停滞による蓄積と考え、「肝臓の解毒機能を良くする漢方」をお組みしました。

2ヶ月服用した所で「肝臓の数値」が目に見えて下がりはじめ、さらに3ヶ月継続して服用していただいたことで代謝が上がり、自然な減量(体重減少)にもつながりました。

③ 30代 男性(AST・ALT・γ-GTP数値上昇と頑固な倦怠感)

「AST、ALT、γ-GTPの数値が高い」と病院で指摘を受け、日常的な「抜けきらない倦怠感」にもお悩みでした。
肝臓に過剰な負担と熱がこもっている状態と考え、「肝臓の解毒機能を良くする漢方」と「清熱作用のある漢方」を組み合わせて服用していただきました。

1ヶ月服用した所で「肝臓の数値」が下がりはじめ、同時に長年悩まされていた日中の「倦怠感」もなくなってきたと、体調の変化を実感されています。


肝臓のお悩みに関するQ&A

病院で処方されているお薬(ウルソやロキソニンなど)と漢方薬は一緒に飲めますか?

はい、基本的には併用していただいて問題ありません。病院のお薬で症状をコントロールしながら、漢方薬で肝臓自身の解毒能力や排泄力を高めていくアプローチは非常におすすめです。

飲み合わせの確認も行いますので、ご相談時にお薬手帳などをお知らせください。

どのような漢方薬を使いますか?

肝臓の不調に対しては、「肝臓の解毒機能を高める漢方」をはじめ、「胆汁分泌を促す漢方」「清熱作用のある(熱を鎮める)漢方」などを主にご用意しております。

これらを、お客様一人ひとりの体質、生活習慣、健診の数値に合わせて、最も適したものをオーダーメイドでお組みさせていただきます。

漢方薬を飲むと、すぐに数値は下がりますか?

漢方薬は身体の根本的な働き(解毒機能や代謝)を整えていくため、変化のスピードには個人差があります。
早い方では1〜2ヶ月で血液検査の数値や「疲れにくさ」に変化を感じられますが、まずは細胞が生まれ変わる期間として3ヶ月程度、じっくりと体質改善に取り組んでいただくことをおすすめしております。

お酒を全く飲まないのに、肝臓に負担がかかることはあるのでしょうか?

はい、十分にあり得ます。甘いものや炭水化物の摂りすぎによる「脂肪肝(NASH)」や、ストレスによる自律神経の乱れ、そしてお薬やサプリメントの常用による負担など、アルコール以外にも肝臓を疲れさせる原因は日常に潜んでいます。

漢方薬を飲む以外に、気をつけることはありますか?

肝臓は私たちが寝ている間に回復し、解毒を行います。そのため、質の良い睡眠をたっぷりとることが肝臓ケアになります。また、脂っこい食事や添加物の多い食品を控え、胃腸と肝臓を休ませる日(休肝日ならぬ「休胃日」)を作ることもおすすめしています。


併せて読みたい関連疾患・お悩み

以下のお悩みも関連が強い症状ですので、併せてご覧ください。

【高血圧】【脂質異常症・高コレステロール血症】【痛風】(肝臓の働きと関連が深い生活習慣病)
【むくみ】(肝機能の低下に伴う水分代謝や血液バランスの乱れ)
【自律神経失調症】(ストレスによる「肝」への負担と気の滞り)
【便秘】(胆汁の分泌低下や、ストレスによる自律神経の乱れによる腸の機能低下)
【疲労倦怠感】(肝臓の解毒機能低下による疲労感の蓄積)


漢方薬剤師 宮本 貴美(みやもと たかみ)

調剤薬局、漢方薬局での勤務を経験

漢方以外にもアーユルヴェーダ・メディカルハーブ・アロマ・分子栄養学など幅広く学び、国際中医師も所持

関心のある疾患は、婦人科疾患、不妊症、皮膚疾患

【趣味】
美味しいお店巡り、ヨガ、旅行、読書


漢方薬剤師 倉本 智里(くらもと ちさと)

製薬会社、化粧品会社、調剤薬局勤務などを経験。

その他、体の内側から体調を整える食養生や腸活の知識を習得。

関心のある疾患:皮膚疾患、婦人科疾患

【趣味】
菌活、腸活、カフェ巡り